ウォッシュド・ナチュラルのコーヒー豆

コーヒー豆を買うとき、コーヒー豆の名前のところに、「ナチュラル」「ウォッシュド」という言葉があるのを見たことはありませんか。
私は、長い間「ナチュラル」や「ウォッシュド」など気にすることなく、コーヒー豆を買っていました。

でも、ウォッシュドとナチュラルには、大きな違いがあることを知り驚きました。
違いがわかると、コーヒー豆を買うときの目安になります。そして何より、自分はウォッシュド好みだからこの豆を買おうとか、今回はナチュラルを味わおうかなど、コーヒー豆の選び方が変わり、買うときの楽しさが倍増します。

今回は、精製方法による味の違い、カッピングの感想、おすすめのシチュエーション、そしてフードペアリングではどんなスイーツと相性が良かったのか、ということについてお伝えしたいと思います。

今回飲んだコーヒーの詳細

・原産国:エチオピア
・産地:イルガチェフェ地区コチャレ村
・品種:モカ原種
・焙煎:シナモン
・グレード:G1(単純に欠点豆の混入率のみで決まります。)

コーヒーの味覚チャート
ナチュラル
・香り:★★★★★
・酸味:★★★★★
・苦み:★★☆☆☆
・コク:★★★☆☆
・甘味:★★★★☆

ウォッシュド
・香り:★★★★★
・酸味:★★★★☆
・苦み:★★☆☆☆
・コク:★★★☆☆
・甘味:★★★★☆

(大阪箕面珈琲焙煎所による)

購入先:大阪箕面珈琲焙煎所
https://minoh-coffee.net/

ナチュラルとウォッシュドの精製方法の違い

まずは簡単に精製方法の違いを説明します。

ナチュラル

収穫した豆を果肉が付いた状態で天日干しして(または機械乾燥)、脱穀し、選別します。
非常にシンプルな方法です。果肉を付けた状態で乾燥させるので、果肉の糖分やフレーバーが凝縮されるそうです。
コーヒー本来の味を味わうことができます。

また、水を使わないので環境に優しい精製方法でもあります。
しかし、果肉を付けた状態で乾燥させるので、発酵が進んで痛んだり、カビが生えたりなどのリスクもあり、欠点豆の混入率が高くなるデメリットもあるそうです。

ウォッシュド

果肉を取り除き、発酵、水洗い、天日干し、(または機械乾燥)脱穀、選別という工程です。

水洗いの段階で、欠点豆が取り除かれるので、均一な豆が精製されるため、スッキリとした、クリーンな味わいの豆になるそうです。

デメリットでは、水を大量に使い、排水するので、環境への負荷が問題であることと、それなりの設備がいるのでお金がかかるということです。

カッピングに挑戦

イルガチェフェG1コチャレナチュラルとウォッシュド

カッピングについて詳しくは、『コーヒーのカッピングって?コーヒーの味の違いが分かる人になる方法』で説明しています。

ナチュラル


step1.
ドライ:ベリー系の香りっぽい?フルーティーな甘酸っぱい香りがする。結構強く酸味を感じる。

step2.
クラスト:ドライと同じようにフルーティーな酸味があるが、ドライよりは弱い。

step3.
ブレイク:フルーティーで、ダークチョコレートのような香り。以前、カカオフルーツから作られたタブレットチョコを食べたのですが、その風味を感じる。
主人は弱い酸味を感じる。

step4.
風味や味をチェック:フルーティーな酸味はあるが、ドライのときの香りが一番強く感じる。
複雑な味わい。これはナチュラル特有のいろいろな風味が混ざり合っているということなのでしょうか?

ウォッシュド

step1.
ドライ:フルーティーで、華やかな香りがするが、ナチュラルほど、強い香りではない。
正直、ナチュラルはとても強い酸味がガツンとくるので、ナチュラルを嗅いだ後にウォッシュドの香りを嗅ぐと、鼻が麻痺しているのか、ウォッシュドの香りを嗅ぎ取るのに苦労しました。           

step2.
クラスト:特徴がつかめず、うまく表現ができません。主人は、ウッド系の香りかな~と、あやふやな感想。

step3.
ブレイク:ブレイクも同じく、特徴がつかめません。主人はクッキーのような香りというが自信ないとのこと。
    
step4.
風味や味をチェック:クリアで、ほど良い酸味、ナチュラルより、酸味が優しく、ウォッシュドのほうが甘く感じる

ペーパードリップで淹れたコーヒーを味わう

イルガチェフェG1コチャレナチュラルとウォッシュド ショコラカヌレとスティックバーいちご

ナチュラル

カップに顔を近づけるだけで、フルーティーな香りに包まれます。ウォッシュドより香りが強いように思います。
独特の酸味が際立っていて、そしてフルーティな甘味があります。ナチュラル特有のワイルドな複雑な風味を感じます。これをコクと言うのでしょうか?深い味わいも感じます。ウォッシュドのようなクリアさはありませんが、しっかりとフルーティな味わいを楽しむことができます。
コーヒー豆が持つ本来の風味、まさにナチュラルな風味を味わいたい人には、ナチュラルがオススメです。

ウォッシュド

ナチュラルほどではないですが、フルーティな酸味がありますが、なんとなく酸味の質が違うように思います。クリアで、さらっとしてて、アフターはスッキリとしています。バランスがよく、ナチュラルに比べると雑味がないのでとても飲みやすいです。無難に酸味のあるコーヒーを飲みたいのであれば、ウォッシュドがオススメです。

こんなときに飲みたい

  • 海でも山でも、近所の公園でも、日差しの下で、爽やかな風を感じながら
  • 休日にのんびりしながら
  • 映画を見たり、読書をしながら
  • ホッとひと息つきたいとき

フードペアリング

カヌレショコラ★★★★☆

TOKI ショコラカヌレ

ナチュラルとウォッシュドの両方でペアリング。
個人的に、ナチュラルより、ウォッシュドのほうが好みだからというものあると思いますが、相性としては、ウォッシュドのほうが良かったように感じます。
カヌレの味については、ショコラの主張はそれほど強くなく、使われているお酒(おそらくラム酒)の香りの方が強く感じました。
イルガチェフェ特有の酸味が抑えられるので、コーヒーの酸味が気になる人なる人にはオススメの組み合わせだと思います。

チョコレートスティックバー イチゴ★★★☆☆

TOKI スティックバー いちご


ナチュラルとウォッシュドの両方でペアリング。
スティックバーのフリーズドライのイチゴが、サクサクしてるかと思っていたら、想像と違い、意外としんなりしていたので、私としてはそこがちょっと残念でした。ナチュラルとウォッシュドともに相性は、まあまあでしょうか。フリーズドライのイチゴの酸味とコーヒーの酸味との相性に、いまひとつ違和感がありました。なんかちょっと違うなって思いました。

タブレットチョコレート★☆☆☆☆

TOKI タブレットチョコ ベトナム74%

ウォッシュド、ナチュラルともに相性はよくありました。
チョコレート自体はとてもフルーティーで、とても美味しいかったです。

ウォッシュドでは、せっかくの素晴らしいフルーティーな酸味をダメにしてしまい、また、変な苦みがでて、コーヒーの風味が薄まった感じで、コーヒーのバランスを崩してしまっているように感じました。

ナチュラルでは、必要以上にコーヒーの酸味が強くでて、これもコーヒーのバランスを崩しているように感じました。

チョコレートスティックバー メープルアーモンド★★★★★

TOKI スティックバー メープルアーモンド


ナチュラルとのペアリングです。
コーヒー自体、前回よりも酸味が柔らかく感じます。
とても相性が良かったです。
チョコ自体は、アーモンドを噛んだときに、メープルシロップの優しい香りがフワッと口の中に広がるのと、アーモンドのカリッとした食感がとても良く、ベースのショコラとのバランスもとてもいいと思いました。
イルガチェフェ・ナチュラルとの相性もよく、コーヒーの酸味がやわらぎ、ナチュラル特有の複雑な味わいとうまくマリアージュしていました。

スペイン産オレンジショコラ★★★☆☆

TOKI スペイン産オレンジショコラ


ナチュラルとのペアリングです。
コーヒー自体、前回よりも酸味が柔らかく感じます。

オレンジショコラ自体は、ちょっと甘すぎるように感じました。あとからじわーっとくるオレンジのほろ苦さはちょうどいいように思いました。
シロップ漬けのオレンジが甘いのか、チョコの割合が多いのか、またはチョコ自体が甘めなのか、どれなのかはわかりませんが、全体として少し甘すぎるという印象でした。

コーヒーとの相性は、可もなく不可もなくと言ったところでしょうか。

フロランタン★★★☆☆

TOKI フロランタン 

ウォッシュドとのペアリングです。
抜群の相性とまではいきませんが、まずまずの相性です。フロランタンは甘味の強い焼き菓子なので、もう少し甘味が優しいもののほうが、相性がいいように思いました。

フィナンシェショコラ★★★★★

エチオピアG1コチャレウォッシュドとショコラフィナンシェとフロランタン

ウォッシュドとのペアリングです。
フィナンシェはコクのある風味豊かな焼き菓子ですが、今回組み合わせたフィナンシェショコラは、ショコラ風味ということもあるのか、プレーンのものと比べるとあっさりしていたので、それが相性の良さに繋がったのかなと思いました。
イルガチェフェ特有の酸味が抑えられ、酸味がちょっと苦手だなという人も、このペアリングならば、イルガチェフェを楽しむことができると思います。

フードペアリングのまとめ

ウォッシュドは雑味がなくクリアな飲み口なので、全体的にナチュラルよりウォッシュドのほうが、スイーツと合わせやすいように思います。
ナチュラルには独特の風味、フルーティさがあるので、その個性をしっかり味わいたいのなら、スイーツなどのフードとは合わせないほうがいいのかもしれません。

「ウォッシュドとナチュラルではどんな味の違いがあるのか」のまとめ

簡単にまとめると、
ナチュラルは、フルーティで、豆本来の風味を味わことができるけれど、独特の風味や雑味もあるので、好き嫌いが別れる
ウォッシュドは、ナチュラルのように、個性を発揮することはできないけれど、雑味がなく、スッキリとした味わいなので、とても飲みやすい

こんなにもナチュラルとウォッシュドに違いがあることに驚きました。そして何より、今まで違いを知らずになんとな~く買ってたことが信じられないと思いました。
今回、ナチュラルとウォッシュドの違いを知ったことで、今後のコーヒー豆の買い方が変わると思いました。そして、コーヒー豆を買いに行くのがもっと楽しくなると思うと、ワクワクします。
自分がナチュラル派か、ウォッシュド派なのかがわかると、店員さんに自分の好みを伝えるときにも役立ちますよね。
これで、さらにコーヒーの楽しみ方が広がりました。