フルッタ・メルカドンって、ちょっと変わった名前だと思いませんか?名前だけではどんなコーヒーなのか、全然想像がつきませんよね。
「フルッタ?」「メルカドン?」って何?いったいどんなコーヒーなのか、すごく気になりませんか?
今回は、そんなブラジルのフルッタ・メルカドンについて紹介します。
フルッタ・メルカドンの特徴
精製する過程で、天然酵母を使って発酵させています。
これにより、独特の香りとフルーティさが生まれ、それがフルッタ・メルカドンの最大の特徴であり、果実感あふれるコーヒーになっています。
ブラジルでは、珍しいフルーティなコーヒーです。
今回飲んだコーヒーの詳細
・原産国:ブラジル
・農園:ドナ・ネネン農園
・品種:ブルボン種
・焙煎:ミディアムロースト
・スクリーンサイズ:16/18
・精製方法:ナチュラル
(大阪箕面珈琲焙煎所による)
コーヒーの味覚チャート
・香り:★★★★★
・酸味:★★★☆☆
・苦み:★★☆☆☆
・コク:★★☆☆☆
・甘味:★★★★★
ポルトガル語で「果物市場」
完熟フルーツを思わせる味わい
天然酵母で発酵することで、独特な味わいに
変わった味わい・クセになる味わい。
(大阪箕面珈琲焙煎所による)
購入先:大阪箕面珈琲焙煎所
https://minoh-coffee.net/
ブラジル・フルッタ・メルカドンの感想
豆の段階から、とても華やかでフルーティな香りがします。そして豆を挽いたあとは、いっそう豊かな香りが増します。コーヒーを淹れ終わったあとは、南の島にいるかのような甘くフルーティな香りが部屋中に広がり、リビングがとても心地よい空間になります。
フルッタ・メルカドンは独特の風味がありますが、スッキリとした飲み口で、柔らかいけれどコクがあり、そしてフルーティな酸味があります。個性的な味わいがありますが、おそらくこれが天然酵母で発酵させたことによる味わいになっているのだと思います。
舌触りはシルキーで、淹れたては、キウイやオレンジ、ベリーようなフルーティさがあります。
少し時間が経って熱さが落ち着てくると、甘味とコクが増し、洋酒のブランデーやウィスキーのようなニュアンスが出てきて、より豊かで深い味わいを感じます。香りと風味において、天然酵母の発酵によるフルッタ・メルカドンの特徴が、いっそう強くはっきり出てくるように思います。
そして、さらに冷めてくると、また違う一面を見せてくれます。完熟バナナのような香りをほのかに感じさせ、よりまろやかな甘味とまったりとしたコクを感じます。
時間と共にいろんな表情を見せてくれる、とても個性的なコーヒーです。万人受けするコーヒーとは言えませんが、この独特の風味にハマってしまう人も少なくないと思います。
温度、抽出スピードによる味の違い
お湯の温度と、お湯を注ぐスピードで、どのように味わいに違いがでるかを試してみました。
1度にいろんな温度、スピードで試せればいいのですが、1度に試すことができないので、6日間かけて試しました。なので、前回との比較は記憶によるものなので、ちょっと曖昧なところがあります。
使用した器具:CAFECのフラワードリッパー
粉:20グラム 挽きの粗さ:普通 出来上がり:240㏄
1日目 85℃ スピード:普通
滑らかな舌触りで、さらっとした飲み口ですが、しっかりした甘味があり、独特のフルーティさも感じられます。
2日目 88℃ スピード:普通
1日目の85℃よも、甘みがちょっとアップしてるように思います。
酸味も少し強く感じましたが、嫌な酸味ではありません。
本来なら、温度を上げているので、酸味が抑えらるはずなのですが、私は酸味が少し強くなっているように感じました。
3日目 88℃ スピード:ゆっくり
1日目の85℃よりもコクや甘味が増して、全体的に、コーヒーの味がしっかりと抽出されているように思います。
基本的にゆっくりと淹れると苦みが強くなるはずですが、特に苦みが強くなった感じはなく、代わりに酸味が少し強くなっているように感じました。しかし、嫌な酸味ではありません。
4日目 88℃ スピード:速め
コク、甘味をしっかり感じます。全体的にボディがしっかりして、3日目より酸味はおだやかな感じます。
5日目 85℃ スピード:ゆっくり
4日目と比べると温度を下げて、ゆっくり淹れたためか、柔らかく、まろやかで、酸味も優しくなったように思います。
6日目 90℃ スピード:速め
抽出温度を90℃に上げたので、コクや甘味など全体的に味がしっかり出ています。
酸味が抑えられ、全体的に柔らかく、まろやかに感じます。香りもよく、甘味がしっかり感じられます。
温度、抽出スピードによる味の違いのまとめ
それぞれに感じた違いを書きましたが、正直に言うと、とても難しかったです。そして、日にちが経つにつれ、コーヒー豆が酸化していっているので、まったく同じ条件で比較できていないということもあります。
それを踏まえて最終的にまとめました。
85℃
シルキーな舌触りが心地よいです。爽やかな酸味と個性的な甘味の奥にコクを感じます。そして、ほのかに感じる苦みがあります。
時間が経つにつれ、濃厚な香りと甘味に変化していきます。
90℃と比較すると、全体的にあっさりした味わいです。
88℃
シルキーな舌触りは同じです。少し温度を高くするだけで、全体的にしっかりと抽出され、コクと甘みが増します。
90℃
シルキーな舌触りは同じです。
時間が経つにつて、熟成したフルーツの香りに変わっていきます。
さらに冷めてくると、ビターな香りになってきます。そして甘味は落ち着いたコクのある甘味へと変化します。
・舌触りはどの温度で淹れてもシルキー。
・85℃と88℃はほとんど違いはないが、88℃のほうが甘さ、コクともにUP。
・抽出スピードが速い方がすっきりした味わい。
・90℃で抽出スピード速めが、コクや甘味など全体的に一番良かった。
コーヒーが冷めてきたときの変化が、90℃のコーヒーはコクや甘味に深みがあり、フルッタ・メルカドンの特徴がしっかりと出ていて、個人的には、90℃が好みですね。
個人的には、90℃で抽出スピード速めがオススメです。
ブラジル・フルッタ・メルカドンとスイーツとのペアリング
シュトーレン★★★★☆4.0
85℃、90℃で淹れたコーヒーでのペアリング。
12月ということで、シュトーレンと合わせてみました。ショコラ風味のシュトーレンです。
コーヒーのフルーティさと、シュトーレンに入ってるフルーツのフルーティさがうまくマリアージュしていました。
焙煎の浅いコーヒーなので、チョコレートの風味に負けるかと心配しましたが、コーヒーの発酵による風味が、ショコラ風味のシュトーレンとうまく合っていました。
逆に、スタンダードのシュトーレンだと、発酵による独特の風味に負けていたかもしれません。
予想外に相性が良かったので、いろいろと合わせてみることで、意外な発見があることを今回も思い知らされました。
ここでちょっと余談
シュトーレンを少し温めて食べてみました。
温めることで、ショコラやアーモンドの風味が口の中に、ふわっと広がって、また違った味わいを楽しめます。
個人的には、ショコラのシュトーレンは、温めて食べるのをおすすめします。
バターサンド★★★★★5.0
90℃で淹れたコーヒーでペアリング。
今回のバターサンドはお気に入りのマルセイバターサンドです。
なぜ、バターサンドと合わせようかと思ったのかというと、以前、コーヒー豆をラム酒の樽で熟成させた、コロンビアのラムバレルエイジドのコーヒーを飲んだのですが、これは天然酵母によって発酵させたコーヒーではありませんが、このコーヒーも独特の風味を持っていて、そのニュアンスがフルッタ・メルカドンと似ているなと思ったからです。
予想は的中。
バターサンドのレーズンのフルーティさと、フルッタ・メルカドンの持つフルーティさが、いい具合にマリアージュしました。
また、バタークリームのコクが、フルッタ・メルカドンの洋酒のニュアンスとが見事にマッチしました。
フルッタ・メルカドンが苦手でも、バターサンドと一緒に味わうことで、「美味しい!」と思ってもらえるんじゃないかと思うくらい、この組み合わせはオススメです。
ビスケット その1 ★★★★☆4.5
85℃で淹れたコーヒーでペアリング。
今回のビスケットはロータス ビスコフです。
ほど良いカラメル風味の甘さとほのかなシナモンの香りが特徴のベルギーのビスケットです。
余談ですが、「Biscoff」はBiscuit for Coffee(コーヒーのためのビスケット)の略で、コーヒーはもちろん、紅茶のお供の定番のビスッケトです。
フルッタ・メルカドン独特のフルーティさとコクが、ビスケットのシナモンの風味を包み込み、ビスケットの甘味とコーヒーの酸味が仲良く調和していました。
まさに、コーヒーのためのビスケットですね。お気に入りの組み合わせになりました。
ビスケット その2 ★★★☆☆3.0
85℃で淹れたコーヒーでペアリング。
ヤマザキビスケットのノアールです。白色の甘いクリームを丸いチョコレートクッキーで挟んだクッキーです。
ノアールの味がしっかりしているので、ノアールの甘味とフルッタ・メルカドンの酸味とのバランスが今ひとつに感じました。
90℃で淹れたフルッタ・メルカドンだったら、もう少し相性が良かったかもしれません。
キャラメルポップコーン★★★☆☆3.5
90℃で淹れたコーヒーでペアリング。
キャラメル風味が、フルッタ・メルカドンの独特のコクと甘味にマッチしました。個人的には、ポップコーン単体では甘すぎたのですが、コーヒーと合わせることで、キャラメルの甘さとコーヒーのフルーティさがいい感じに混ざり合って美味しかったです。
ドライいちじくとアーモンド★★★★☆4.0
これはスイーツではありませんが、我が家の定番のコーヒーのお供です。
ドライいちじくもメーカーによって、産地や品種の違いがあり、味も食感も全く異なるので、一概には言えませんが、これまでコーヒーと一緒に食べて「コーヒーに合わないな」ということは無かったと言っていいくらい、ドライいちじくとアーモンドは間違いなくコーヒーと合います。なんて優秀なんだろうといつも感心していまいます。
なので、コーヒーのお供に悩んだら、ドライいちじくとアーモンドをお勧めします。
ちなみに、私は小ぶりのドライいちじくが好みです。
おすすめのシチュエーション
華やかでフルーティな香りがアクティブなニュアンスを出しつつ、時間が経つにつれ、落ち着いた雰囲気がでてくるので、いろんなシチュエーションで楽しめそうです。
・休日のモーニングコーヒーやコーヒーブレイクに。
・南の島の水上コテージで、潮風を感じながら。
・夏の沈む夕日を眺めながら。
・読書のお供に。
・クラシックやジャズを聴きながら。
・まったりした時間を過ごすとき。
ブラジル・フルッタ・メルカドンのまとめ
質の良い酸味と甘味が長く続くので、じっくりと余韻を楽しめるコーヒーです。
個性的なコーヒーなので、好き嫌いが別れてしまうかもしれませんが、一口飲んで、好きか嫌いかを決めてしまうのではなく、移り変わっていく香りや風味を確かめてから、自分の好みがどうかを判断してもらえたらと思います。一口目で苦手だと思った人ほど、案外、フルッタ・メルカドンの虜になってしまうかもしれませんよ。
フルッタ・メルカドンは、香りや風味の移り変わりが分かりやすいコーヒーです。
ぜひ、時間のあるときにゆっくりと、時間とともに変化する違いを楽しんでほしいと思います。